桜井昭寛

桜井昭寛(さくらいあきひろ:1951~)

系統:鳴子系

師匠:桜井昭二

弟子:桜井尚道

〔人物〕  昭和26年6月2日、桜井昭二の長男として鳴子町湯元に生まれる。祖父は桜井万之丞、祖母は桜井コウ
昭和39年東京オリンピックの時、鳴子では鳴子中学校の生徒も協力して各国選手に贈る12,000本のこけしを作るということがあった。中学1年だった昭寛も協力して、こけしの描彩を手伝った。これが描彩の始めとなった。昭和45年高校卒業後、父昭二について木地を修業、昭和47年からこけしの描彩を本格的に始める。
昭和57年頃より鳴子駅前を右手に向かった「こけし通り」の桜井こけし店を昭二より継承して経営している。
同じ昭和26年生まれの鳴子の工人には高橋武俊、高橋義一、高橋敏文等がいる。
平成26年の第60回全国こけし祭りではトークショーに出演し、こけし作りの経緯や工人としての姿勢を語った。長男の尚道も木地の修業をはじめ、平成29年頃よりこけしの製作も始めた。

桜井昭寛 平成24年5月

桜井昭寛 平成24年5月

左:桜井昭寛 右:桜井尚道 平成30年6月

〔作品〕  桜井昭二と同様に、岩蔵につながる工人の型を作り、こけしの様式は豊富である。
祖父万之丞の兄である大沼岩蔵、祖父桜井万之丞、祖母コウ、岩蔵の兄弟弟子庄司永吉の型等を作る。また最近では万之丞の弟健三郎のこけし復元にも意欲を示している。

桜井昭寛・大沼岩蔵型
〔大沼岩蔵型・左より19cm、19cm(平成23年)(山藤輝之)〕

父昭二を亡くした翌年の平成24年に鳴子のコンクールで最高賞を受賞した岩蔵型は完成度高く、張りのある作品で、大きな評判となった。審査講評は「単なる写しではなく、昭寛の新しい感性によるみずみずしい創造」と書いた。深沢コレクションの岩蔵を手に取った感動をベースに、じっくり研究した作品であった。平成26年に庄司永吉型でふたたび鳴子のコンクールの最高賞を得たが、この時は「無心の作で円熟味さえ感じられる」と評された。

〔30.3cm(平成24年8月)(大崎市)〕 全国こけし祭りコンクール受賞作
〔30.3cm(平成24年8月)(大崎市)〕 全国こけし祭りコンクール受賞作

]桜井昭寛・庄司永吉型
〔庄司永吉型・左より27cm、25cm、23cm(平成25年)(山藤輝之)〕

〔右より 28.5cm(平成20年8月)、24.5cm(平成26年9月)(橋本正明)〕
〔右より 28.5cm(平成20年8月)、24.5cm(平成26年9月)(橋本正明)〕
上掲の左端は、近年発見された幕末の作かといわれる古い鳴子こけしをイメージして制作したもの。

〔12.5cm(平成27年9月)(橋本正明)〕
〔12.5cm(平成27年9月)(橋本正明)〕
 
古作の追求には常に熱心であり、上掲は深沢コレクションの庄司永吉小寸を復元したもの、また下掲の2本は岩蔵古作、伝志けよ作を復元したもの。

〔右より 20.2cm 岩蔵古型、21.5cm 伝志けよ型 (平成28年8月)(橋本正明)〕
〔右より 20.2cm 岩蔵(岩太郎)古型、21.5cm 伝志けよ型 (平成28年8月)(橋本正明)〕


〔24.3cm(平成29年5月)(橋本正明)〕 岩蔵(岩太郎)古型


〔右より 21.1cm 健三郎型、17.6cm 万之丞型(平成29年11月)(橋本正明)〕

上掲の左端は鈴木康郎蔵の大正10年頃の桜井万之丞を写したもの。

〔伝統〕鳴子系岩太郎系列 後継者に長男尚道がいる。

〔参考〕

桜井こけし屋

桜井こけし屋
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