三春文雄(みはるふみお:1954~)
系統:木地山系
師匠:小野寺正徳
弟子:
〔人物〕 昭和29年8月29日、秋田県雄勝郡稲川村三梨の農業三春久一の長男に生まれる。学校を卒業後、親戚が経営していた三春仏壇店に勤めた。若い頃から木地技術に興味があり、やはり親戚で木地を挽いていた三春広義の仕事などを見たりしていた。昭和50年代の後半に転職して、仏具店より稲庭絹女うどんの高橋東一本舗に移った。
このころに仕事の合間に木地を挽くようになり、技術は主に井上周治に習った。こけし製作にも意欲があったので、小野寺正徳より描彩の指導を受け、昭和63年頃よりこけしの製作を行っている。会社の要職を勤めながらの製作であったため、数多くは作れなかった。定年後も引き留められて仕事を続けたが、平成28年に無事退職することが出来、ようやくこけし製作に専念できるようになった。
〔作品〕 木地山系の各種のこけしを研究して作っている。
小椋石蔵型のほか、樋渡治一型、小椋泰一郎型、久四郎の前垂れ型などを作る。
樋渡治一型は、治一の形態を基本に各種のバリエーションを作っていて興味深い。
下掲は樋渡治一型、右端の胴模様は珍しいが川口貫一郎の戦災で焼けたこけし蔵品中にこの様式のものがあった。戦前の川口蔵品写真よりこの様式を再現した。
〔右より 18.2cm、21.3cm(平成18年)(矢田正生)名古屋こけし会頒布〕樋渡治一型
〔右より 18.4cm(平成28年)、5.4cm、25.0cm(平成25年)(鈴木康郎)〕
下掲8寸は鈴木康郎蔵の久四郎を復元したもの。平成30年正月の東京こけし友の会例会で頒布された。
〔系統〕 木地山系
〔参考〕
- 矢田正生:蒐集家のこけしの写真から〈木でこ・185号〉(平成18年11月)
戦前の川口貫一郎のこけし棚 中央が樋渡治一
三春文雄はこの写真をもとに治一型を再現した。 - 伝統こけし達 三春文雄 10
- こけし千夜一夜物語Ⅱ 第73夜:H27友の会旅行(1日目)
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