熊谷正(くまがいただし:1937~)
系統:鳴子系
師匠:松田初見
弟子:
〔人物〕 昭和12年2月14日宮城県築館の左官業熊谷政之助・みつえの二男として生まれた。昭和27年3月築館中学校を卒業後、鳴子の大沼宜輔の工場に入り、当時この工場の職人をしていた松田初見について木地を学んだ。こけしの木地も挽き、描彩は昭和30年7月から始めた。昭和32年8月上鳴子で独立開業した。足踏みロクロも巧みで、全国こけし祭りの会場実演では足踏みロクロでこけしを製作する。
〔作品〕 作り始めたころのこけしは鳴子一般型で、師匠松田初見から受け継いだ特徴もほとんど見られず、〈こけし辞典〉では「木地の型は松田初見よりの伝承であるが、描彩は初見のほか大沼誓など多くの工人よりの見取りで、鳴子共通型をのこけしを作る」と説明されていた。
平成8年頃から、師匠松田初見や、その師である高野幸八や、兄弟弟子の遊佐民之助のこけしを復元するようになって、熊谷正らしい特徴のあるこけしが作られるようになった。
下掲の作は、松田初見の作風に従ったもの。
足踏みロクロの実演では、民之助型や幸八型を好んで製作する。写真の遊佐民之助型は足踏みでの製作であるが、表情張りがあって清新であり、胴の模様は躍動感があってよい。こけし千夜一夜物語第105夜には「鳴子の競作(熊谷正)」という紹介がある。
〔右より 16.8cm(平成14年)幸八型、21.5cm(平成12年)民之助型(橋本正明)〕
ともに足踏みロクロによる製作
〔伝統〕鳴子系幸八系列。 高野幸八-松田初見-熊谷正と続く系譜。
〔参考〕
熊谷正こけし製造業