杉原浩

杉原浩(すぎはらひろし:1889~)

系統:鳴子系

師匠:成沢某

弟子:

〔人物〕 山形県新庄市紙鍬町の大工。内職に木地を挽いていた。明治22年(推定)生。木地は見取り。昭和14年9月こけし研究家の深沢要が瀬見の旅籠で得た情報を元に、新庄に未知の工人を訪ねて杉原浩と会い、次の聞き書きを得た。
「25、6年前、ここの金沢という所に成沢某という木地屋がおりました。60歳に近く、こけしや玩具類を作り、内儀が背負って行商していました。私はそこによく遊びに行っているうち、自分で始めるようになったのです。〈こけし手帖・46〉」
成沢某のこけしを思い出して杉原が作ったものが鳴子の深沢コレクションに残っている。彩色の用意はなく、その時杉原浩は墨一色で描いた。
成沢某の経歴はこの聞き書き以外一切不明、杉原浩のその後の消息も不明である。

〔作品〕下掲は、深沢要の熱心な聞き書きに応じた杉原浩が「チョッコラ挽いてみますかな」といって記憶を頼りに挽き、在り合わせの墨と筆で絵付けをしたこけしである。
形態は肩に段がある鳴子様式であり、胴は細身で古風である。師の成沢某も鳴子の木地屋と確かに関連があったものと思われる。
鳴子系のこけしが大正年代新庄付近で作られていた資料として杉原浩による作品は貴重である。


[ 14.4cm(昭和14年9月)(日本こけし館)〕 深沢コレクション

〔伝統〕鳴子系

〔参考〕

  • 深沢要:深沢要遺稿集〈こけし手帖・46〉(昭和37年2月)
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