子供の玩具としてのこけしを直接のスタートととして持たず、収集家・業者等の指導・要請により発生したこけしで、外面的には一見伝統の衣装をまとっているが、伝統的な系譜と直結していないこけしを一般型と総称する。
戦前のこけしブームの時代に、親や特定の師匠からの継承ではなく、その地方や産地の一般的、標準的な要素により製作されたもので、新規作者を求めていた蒐集家や、観光地の特産土産を欲していた業者等の勧めにより作られた。
また戦後の旅行ブームによって、こけしが有名な観光地では、需要に生産が追い付かないような場合もあり、木地の挽ける工人に一般型の製作が依頼されたケースもあった。鳴子や遠刈田、仙台などでは、この時期にこうした標準的平均的なこけしを作る多くの作者が生まれた。こうした産地における基本的に共通な様式のこけしを共通型と呼ぶこともある。
一般型の多くの場合には、その地のこけしの標準的要素を組み合わせた個性の乏しい作品であったが、例外的にこうした工人の中にも一般型から脱して、作者の創意による独特な新意匠を試み、注目された場合もあった。