田島木工伝習所

大正8年7月より10月まで、福島県南会津郡田島町(現在の南会津町)に県と町の共設の木工伝習所として開設され、遠刈田より佐藤豊治、佐藤円吉らが木地の部門の講師となって技術の指導を行った。木地部門の弟子は6名ほどと言われており、皆川久馬はその一人と思われる。また大正9年にも伝習所は開設され、佐藤円吉の指導があったともいうがこちらの詳細はわからない。大正10年度における田島町の木地生産数量は1,130挽き、売上価格13,560円という記録がある。〈田島町史〉(昭和55年)には大正8年の木工伝習進度予定表が掲載されている。第一期生の第九週に玩具や独楽の指導がある。第一期生は初心者、第二期生はある程度の経験者の意という。

木地伝習進度予定表 〈田島町史〉(昭和55年)より

ここで技術を習得したと思われる皆川久馬は、田島町に皆川木工所を開設し、営業を続けた。後にこけしを製作した星昭成は皆川木工所で技術を学んだ。

皆川久馬

こうした木地の伝習は佐藤豊治が講師となって、大正13年6月~9月に中ノ沢でもほぼ同様の内容で行われた。喜多方、会津若松、樋の口、中ノ沢より9人の生徒が集まった。岩本芳蔵、氏家亥一は中ノ沢木地講習会の受講者であった。

〔参考〕

  • 中根巌:皆川久馬と星昭成のことなど〈木でこ・240〉(令和4年1月)
  • 田島町史編纂委員会〈田島町史〉(昭和55年1月)
  • 写真 皆川木工所風景 (提供:中根巌)

    前列向かって左から二人目皆川久馬、二列目向かって左から二人目星昭成
    皆川木工所作業場

    皆川木工所 製品(輸出用サラダボールなど)
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