当て字

こけし愛好家や趣味人がひらがなの俗をきらって、漢字の当て字を好んで用いたことがあった。
これは江戸・明治期の趣味人たちに漢学尊重の風があり、こけし愛好家もこの風に倣ったことによる。
こけし愛好家は、こうした当て字を用いて自分のコレクション名、堂号、所蔵印、蔵書票などを作った。

主なこけしの当て字としては次のようなものがある。
木形子・木削子・御形子・木芥子・小芥子・御芥子・小笥子・木華子・木戯子・古戯子・古華子・古芸子・香華寿・古計志・小罌粟

同様にこけしの方言のひとつ「きぼこ」に対しては、貴宝庫、木這子、木眸庫、木房居などがある。

深沢要は「古戯子」という当て字を使った
深沢要は「古戯子」という当て字を使った

ただ天江富弥は趣味家が勝手な当て字を用いるを嫌い、昭和15年東京こけし会の鳴子大会において「こけしの文字は漢字の当て字を絶対に使用せず、今日より仮名書きに改める事」という議案を出して可決させたことがあった。

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