大沼秀顯(おおぬまひであき:1956~)
系統:鳴子系
師匠:大沼秀雄
弟子:大沼美咲
〔人物〕 昭和31年5月20日、宮城県玉造郡鳴子町湯元のこけし工人大沼秀雄、百合子の長男として鳴子に生まれる。昭和50年県立古川高校を卒業し、同年4月より父秀雄について木地修業を開始した。昭和57年のこけしまつりに初めて奉納、昭和59年2月の東京こけし友の会例会おみやげこけしが初めての販売となった〈こけし手帖・昭和59年4月号〉。 明朗な性格で、頻繁に各地のこけしイベントに出張して鳴子こけしを広めている。
令和2年より二女美咲もこけしを作り、店に並べるようになった。
〔作品〕 父・秀雄と同じく竹雄型を継承する。文様化された車菊、楓、石竹、重ね菊(横菊は二種ある)、牡丹を描き、組み合わせて本人型のこけしやえじこ、ねまりこを製作している。えじこには象嵌を使うこともある。 平成23年5月のこけし談話会・大沼竹雄に参加、復元に取り組んだ。 白胴一筆目の可憐な古鳴子風の作品を作るようになった。 また、この頃より太いロクロ線の入る地蔵型も時折製作している。
〔右より 19.0cm、24.0cm(平成24年)、13.6cm(平成29年5月)(橋本正明)〕
平成27年には、元村勲蔵の大沼岩太郎を復元、太目の胴に大振りの面描を施した力作であった。
〔31.2cm(平成27年8月)(橋本正明)〕 元村勲蔵大沼岩太郎型
下掲はその版画をもとに大沼秀顕が再現を試みたもの。
〔18.4cm(平成30年1月)(橋本正明)、左〈奥羽余情〉深沢要版画〕
大阪こけし教室
下掲は令和2年の東京こけし友の会で特別頒布された岩太郎型。国府田恵一蔵の岩太郎を写してその時代の感触まで再現したと高い評価を受けた。木地は木賊(トクサ)かけのみで仕上げている。
〔右より 大沼岩太郎 18.4cm(明治中期)(国府田恵一)、大沼秀顯 18.0cm(令和2年2月)(橋本正明)東京こけし友の会特別頒布〕
下掲では、伝岩太郎や創生期鳴子等の古式の型に、鳴子の古風な描彩を組み合わせて、新しい秀顕の様式を作り上げた。名古屋こけし会で頒布されたが、同様に古式鳴子の型に描彩を試みたこけしは令和5年に鶯谷ねぎしにも少数出品された。
〔右より 25.4cm(令和4年9月)、25.0㎝(令和5年6月)鶯谷ねぎし(橋本正明)〕
〔伝統〕 鳴子系岩太郎系列