阿部国敏

阿部国敏(あべくにとし:1972~)

系統:土湯系

師匠:阿部勝英/陳野原幸紀

弟子:

〔人物〕 昭和47年9月29日、福島県土湯温泉の松屋阿部敏道の二男に生まれる。祖父は金一、曾祖父は治助である。平成4年に陳野原幸紀について木地を修業、こけし製作にあたっては祖母シナ、義祖父勝英、父敏道から描彩の教えを受けた。ただ、教え受けたと言っても自分で描彩したこけしを繰り返し見せて助言を受ける程度であったという。
平成7年末頃から作品を店に出す様になった。平成8年2月には東京こけし友の会で頒布された。このころから治助の継承者として名前が知られるようになった。
土湯温泉町から坂の上へあがったところにある工房でこけし製作を続けている。

阿部国敏 平成25年3月

阿部国敏 平成25年3月

治助古作を研究する阿部国敏 平成25年6月

始めてみる石井眞之助旧蔵の治助の実物を研究する阿部国敏 平成25年6月

〔作品〕 こけしの習作期と思われるこけしが こけし千夜一夜物語 第515夜 に紹介されている。
下の写真の右端も平成6年作で初期の作例である。まだこのころの作品は、祖母シナ、父敏道のこけしを写しているように見える。

〔右より 30.3cm(平成6年)、24.0cm(平成10年)(高井佐寿)〕
〔右より 30.3cm(平成6年)、24.0cm(平成10年)(高井佐寿)〕

平成8年東京こけし友の会で頒布された頃のこけしは鹿間時夫旧蔵の、俗称「天理教時代」と呼ばれている阿部治助の型を継承したものだった。
その後、依頼により阿部治助の古作を、実物あるいは写真により研究し、各種の治助型を作るようになった。
〈こけし手帖・599〉には「阿部国敏工人のこけしと年代変化」と題して、国敏こけしの変遷が掲載されている。
下の写真に掲げる作品は、石井眞之助旧蔵の治助を写真から復元したものであろう。
作品は清新溌剌とした治助型となっており、若々しい魅力的なこけしである。

〔25.8cm(平成20年)(橋本正明)〕
〔25.8cm(平成20年)(橋本正明)〕

下掲の尺は石井旧蔵の現物を見たあとの作品。

〔30.5cm(平成27年8月)(橋本正明)〕
〔30.5cm(平成27年8月)(橋本正明)〕


〔 15.8cm (平成29年6月)(橋本正明)〕

治助の優品実物を数多く見て、治助の本質的な魅力を実感出来たら、それを国敏の新しい感性で再構成してくれることを期待したい。

伝統的な治助型のこけしの他に、新考案の「ほほえみがえし」という木人形を作る。大きな首がくらくら揺れる愛らしい人形で、若い人たちに人気がある。

系統〕 土湯系松屋系列

〔参考〕

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