岡村豊作

岡村豊作(おかむらとよさく:1880~1940)

系統:独立系

師匠:高橋直広/阿部常松

弟子:岡村豊太郎

〔人物〕明治13年、山形県西田川郡現鶴岡市大山町鍛冶町に桶屋の息子として生まる。22歳のとき、酒田の高橋直広について木地を習得、大山で独立開業し、昭和15年4月15日、行年61歳で没した。長男の豊太郎は北海道に渡り函館で木地の修業をしたが、昭和6年頃大山へ帰郷し豊作とともに木地業に従事した。
豊作のこけし製作に関しては、大山で開業した後、阿部常松に玩具、小物を習ったという説がある。長男豊太郎によると、常松に習ったかどうかはわからないが、豊作の時代には温海とはよく往き来があったことは確からしい。描彩は別としてこけしの形態だけをとり上げると、確かに常松のそれとよく似ており、なんらかの影響はあったかもしれない。豊作の家には師匠の高橋直広所持していたと思われる明治32年の〈木地寸形記〉という文書が残されている。こけしは描かれていないが木地玩具はいくつか含まれている。
 

〔作品〕〈こけしと作者〉の豊作に関する記述では、「昭和11年三五星で発売され、その案内に、『模様を忘れてしまったので、その近代化は惜しむべきだが、珍しいコケシの一つである』とある」と書かれている。豊作の木地は下掲写真のように温海の阿部常松の胴のくびれたこけしと同じような形態であるが、顔料で襟や帯を描き、描彩は一定しない。一応常松からの伝承を受けて作り始めた可能性はあるが、豊作自体の創意工夫もかなり加わっているであろう。


〔 18.2cm(昭和11年)(箕輪新一)〕

下掲は昭和11年に東京の三五屋から加藤文成が購入したもの。


〔24.3cm(昭和11年)(加藤文成)〕

〔伝統〕独立系(庄内系)

〔参考〕

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