前田良二(まえだりょうじ:1981~)
系統:遠刈田系
師匠:広井道顕
弟子:
〔人物〕 昭和56年9月3日、東京都利島村に生まれる。利島は伊豆諸島の一つで、富士箱根伊豆国立公園内に有り、椿の花が咲き誇る事で知られている。学卒後19才で上京しアルバイト等をしながら人生設計を練る。地元の椿材に関わった仕事がしたいと漠然と考えていたが、平成16年春に、知人の紹介で広井道顕に出会い、作品に感銘を受けて、その年に秋保に移住し弟子入りした。週2回、「御独楽処廣井」でみっちり修業を行い、平成19年より、ひねり独楽、逆立ち独楽、もみ独楽等を製作しを市販を始めた。桜井美沙は妹弟子。
良二は、現在主に木地玩具と独楽そして江戸独楽を併用して製作している。また椿材の茶托や菓子鉢、ぐい呑みの製作にも取り組んでいる。
当初こけしには、余り興味がなかったが、師匠から「筆遣いを覚える為にもこけしを勉強をした方が良い」と助言されたことが契機となり、大阪こけし教室357回のお土産としてこけしの製作を行い、これがこけしのデビューとなった。また、そのときには師匠道顕も40年振りにこけしをまとまった本数製作し、話題となった。
独楽の兄弟子には、本田裕輔・新山実・新山民夫・鎌田孝志・星定良・渡辺英雄(新型木地下)・嶋村幸二(大工)鈴木功(技官)らがいる。
矢田正生氏が、秋保工芸村を訪ねた報告が、〈伊勢こけし会だより・142号〉(平成25年6月30日発行)に掲載されているが、前田良二の事を「とても朗らかで話上手な好青年である。師匠もあまり作らず、師匠のこけしを継ぐ者もいないので是非こけしを作って下さいと話したが、作るようになってくれると嬉しいのだが、、、」と紹介している。
平成26年には、シンガポールで江戸独楽の実演を行ったこともある。
前田良二 平成25年5月 〈伊勢こけし会だより・142号〉 撮影:矢田正生
〔作品〕 師匠の広井道顕は東京本所の木地師で、江戸独楽始め精巧な玩具を作る技術を持っていた。道顕は昭和30年頃から仙台の我妻吉助に習ってこけしの製作を始めた。前田良二の作品も吉助の作った遠刈田の型の継承である。
継続的なこけし製作を期待したい。
〔右より 4.5cm エジコ(平成27年10月)、15.0cm、15,0cm、15.0cm、15,0cm(平成27年5月)大阪こけし教室おみやげこけし、10.5cm(平成27年4月)からくり独楽(中根巌)〕
〔系統〕 遠刈田系吉郎平系列
〔参考〕