佐藤保裕(さとうやすひろ:1960~)
系統:遠刈田系
師匠:佐藤今朝吉
弟子:
〔人物〕昭和35年11月21日、宮城県蔵王町遠刈田の佐藤今朝吉、みねの長男に生まれる。昭和56年より父今朝吉について木地の修業を始めて、昭和60年に自分の作品を発表した。
こけし工人六郷満の二女仁美と結婚して、仁美に木地の指導を行なった。その後、仁美は父満のこけしを継承した。やがて仁美とは別れることになったが、その後宮城県蔵王町の「伝統こけし工人後継者育成事業」に採用されてこけしを作っていた達曽部早苗と再婚した。現在は白石市福岡蔵本で早苗とともにこけしを製作している。
〔作品〕父の佐藤今朝吉は高橋広平に木地を習ったが、広平の父の林平は佐藤広喜に木地の指導を受けている。広喜は松之進の従兄弟であり、その意味で佐藤保裕は遠刈田系で剛直派といわれる吉郎平系列佐藤松之進の流れを汲む。下掲は松之進の作風を踏襲したこけし。
下掲の作のように、面描甘さに流れず、鋭角的で吉郎平系列の良さを十分発現した作品を作った。
保裕のこけしは、箕輪新一蔵の佐藤広喜の古作を学ぶことによって、さらに大きく飛躍した。
下掲は平成28年全国こけし祭りの出品作、その講評では「遠刈田の佐藤広喜のごく古い型を、現代の感覚を通して再現した快作である。大振りの頭に、長く引かれた瞼は揺るぎがなく、その瞼をはみ出して、描き加えられた眼点には異様な力がみなぎっていて見る者の心をとらえて離さない。」と評された。
〔 24.0cm(平成28年)(大崎市)〕 全国こけし祭り出品作 佐藤広喜型
下掲は国府田恵一が入手した佐藤広喜を復元したもの。ほぼ完璧に近い再現である。6寸余という小寸であるが、実際の寸法をはるかに超えた、大きな存在感を感じさせる。
〔 18.5cm(平成30年7月)(橋本正明)〕 佐藤広喜型
下掲6寸は、調布博物館の加藤文成旧蔵の広喜を復元したもの。これもほぼ完璧の復元である。
〔伝統〕遠刈田系吉郎平系列 松之進家
〔参考〕