新山茂(にいやましげる:1920~1944)
系統:弥治郎系
師匠:新山久治
弟子:
〔人物〕 大正9年、新山久治二男として弥治郎に生まる。久志は兄である。昭和9年福岡尋常高等小学校高等科を卒業。昭和10年16歳で父久治につき木地を修業。昭和14年までこけし、玩具等を作った。昭和15年21歳のときに入営、同時に下士官志願をし陸軍曹長となった。昭和19年10月30日、台湾沖で戦死した。行年25歳。
〔作品〕昭和10年より15年までの5年弱の期間しか木地を挽かなかったため、作品数は少ない。〈こけしと作者〉掲出のものは6寸作り付けで、初作に近い。従来久志のものと混同されていたものもあるが、裾に三本線のあるもので上端の元がくっついているのはほとんど茂の作である。また表情においても久志より稚拙でユーモラス、目が左右に開いていて、鼻は小さく丸い。形態はやや胴裾のほうが太くなるものが多い。一般に茂の頭は大きくやや扁平といわれているが下掲右端のように丸いものもある。これは胴裾に三本線もないから、木地は兄久志のものかもしれない。
下掲左端は米浪庄弌旧蔵で19歳の作。面描は中心にまとまっていて眼には力がある。
〔右より 23.5cm(昭和14年6月)、30.6cm(昭和13年)(鈴木康郎)〕
下掲の二葉は入営直前の作と思われる。鹿間旧蔵尺の表情は少しさびしい。
〔伝統]弥治郎系新山系列