及川あい子

及川あい子(おいかわあいこ:1925~1999)

系統:鳴子系

師匠:及川正夫

弟子:

〔人物〕大正13年6月17日、鳴子駅前の塗師大沼与三郎、峰子の4人兄弟の長女として生まれた。与三郎は、「沢口吾左衛門文書塗師ノ部」に記録の有る大沼栄三郎の三男である。及川林蔵、みよい夫婦に子供がいなかったので、生まれてすぐに養女となった。尚、大沼純は実弟である。
昭和14年に宮城県古川高等女学校を卒業後、及川漆器店の絵付け作業を手伝っていたが、昭和18年に佐藤正夫と結婚、正夫を及川家の養子として迎えた。あい子は学生時代から絵が上手だったので、昭和22年から店で販売するおみやげこけしの描彩を始めた。特に3寸から8寸くらいの墨絵こけしが得意で、女性従業員3名が胴模様を描き、面描はあい子が全て行った。京都の土産物屋発注の舞妓こけしや五段雛の描彩も佐藤俊雄等の木地に行った。伝統型も佐藤俊雄の木地に少数描いているが無署名が多い。及川正夫は戦後に少数販売した「漆こけし」以外に木地は挽いていない。及川工場は多くの従業員や職人を雇用していて、その経理関係は全てあい子が見ていたという。長年勤めた佐藤俊雄は、「正夫は仕事の指導は厳しいが面倒見の良い父親のような存在、あい子は心配りが行き届いた人で、親身になり従業員の相談に応じていた。」と話していた。
あい子は平成12年6月28日77歳で亡くなった。


及川正夫、あい子夫妻 (平成6年9月5日)
於:ホテル・オニコウベ にて

〔作品〕下掲二本は及川正夫名義のこけし。木地は佐藤俊雄、描彩は及川あい子であろう。


〔右より18.4cm(昭和31年)、29.5cm(昭和40年頃)(中根巌)

〔伝統〕鳴子系共通型

 

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