田崎弥蔵

明治から大正にかけて山形市旅篭町で開業していた家具屋の主人。
田崎家具店では、岡崎栄治郎、海谷善蔵、佐竹林之助、白川久蔵、石沢角四郎、鈴木幸之助等多くの木地職人が働いた。こけしを挽いたのではなく椅子や机の脚など、家具の部品を挽く仕事であった。吉田慶二著〈聞書・木地屋の生活〉によると、大正5年頃に彌蔵の養子が官庁の入札等に派手に金銭を使ったために店は潰れたという。ただ、下掲のように大正10年においても全国特産品製造家便覧等に田崎彌蔵の名が見えるので、店がつぶれたのはさらに後年であるか、あるいはいったん潰れたのち再興されたのかもしれない。


山形市内無尽講会員一覧 明治~大正
山形県立博物館研究報告:第18号

なお、大正5年9月に山形市において開催された第4回奥羽連合共進会において、田崎彌蔵は西洋家具を出品している。

山形県主催 奥羽連合共進会(大正5年) 出品目録

また大正10年に刊行された全国特産品製造家便覧(下巻)にも家具指物製造家として小林倉吉と並んで田崎彌蔵の名がある。


全国特産品製造家便覧下巻(大正10年)

〔参考〕

  • 山本陽子:地方博覧会・共進会とこけし産地の木地業〈きくわらべ・5〉(令和3年4月)

 

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