こけしの用材としてもっともよく使用される樹。
ミズキ科 サンシュユ属(ミズキ属)
学名:Cornus controversa var. controversa
高さは10~15mになる落葉高木。若い枝は赤紫色、はじめ有毛で、のちに無毛となる。
枝は水平に広がり、階段状の独特な樹形をとる。葉は互生する単葉、長さ6~15cm、幅3~8cm、5~9対の側脈を持つ。
枝先に径6~12cmの散房花序を出して、白色の小さな4弁花を多数つける。いわゆるハナミズキ(花水木、学名:Cornus florida)の花とは異なる。
樹液が多く、特に春先には枝を切ると、水のような樹液がでることからみずきと呼ばれる。樹液が多いため、用材としての用途は限られるが、成長が早いため、材は白くて柔らかく加工がしやすいので、こけしには最もよく使われる。
一般に樹液の多い木には聖性があるとされ、東北では、小正月にこのみずきの枝に餅花(団子)をさして飾る風習がある。このため、みずきは「だんごのき」と呼ばれることもあり、佐藤友晴の〈蔵王東麓の木地業とこけし〉ではこの名で紹介されている。また「季節のいい時期に材切りして、入念に乾燥すると、一点のしみもない白色優美なこけしを得ることが出来る。肌美しい柔和なこけしは、みずきでなければ味わえない。」と書かれている。