〔人物〕昭和6年3月22日に生まれた。昭和46年頃に花巻の佐藤一夫について木地を学んだ。佐藤一夫は伊藤松三郎の弟子であった佐藤末吉の長男で、松三郎風のこけしや、キナキナを作った。
また昭和50年頃には佐藤長雄の指導も受けた。この頃から長雄の影響下に新型に近い作風のこけしも作るようになった。花巻市山の神に住んでいたが、平成21年5月20日に没した。行年79歳。
〔作品〕下掲の斉の作品は、師匠の佐藤一夫が作った型で、松三郎の様式に従った鳴子風の型に、花巻の煤孫一家の様式である帯を加えたもの。この斎藤斉の作品は師匠一夫の型を忠実に継承したものであった。
この様式の他に、南部のキナキナの製作も行った。師匠佐藤一夫のキナキナを祖型にしたと思われるが、斉のキナキナは帯の部分の形態が独特になっている。
〔右より 斎藤斉 24.2㎝(昭和52年)、佐藤一夫 18.8㎝(昭和52年)(中根巌)〕
また、佐藤長雄の影響で作り始めた斉のこけしは新型であったが、下掲右のように面描に若干藤井梅吉風の意匠を感じさせるこけしであった。
〔左より 24.2㎝(平成8年8月)佐藤長雄の新型「椿こけし」、21.3㎝(平成12年8月)斎藤斉の作(中根巌)〕
〔系統〕南部系、鳴子系
〔参考〕
- 中根巌:珍しいこけし(四)〈伊勢こけし会だより・165号〉(令和3年3月)