井上周治(いのうえしゅうじ:1923~2023)
系統:木地山系
師匠:小椋正吾
弟子:五十嵐(井上)友里
〔人物〕 大正12年2月4日、秋田県雄勝郡川連の井上虎二郎(農業)の長男として生まれる。代々家名は名兵衛であり、周治も名兵衛を名乗ることがある。 現住所は秋田県湯沢市三梨町下宿。
周治は農業の閑散期の昭和44年秋から初春にかけ4年間、小椋正吾に師事して燭台、盆木地等を習得した。轆轤は大家にあたる三春友一が昭和45年頃に購入してくれた。この頃から、木地山系各種のこけしを見取りで製作するようになった。
本職の仏具・神具等の製作の傍ら、こけし製作に取り組んでいる。佐藤信一は友人である。また三春文雄は周治より木地の手ほどきを受けている。
孫の友里も描彩のみ行い、頒布された例がある。
令和5年1月28日に没した。行年101歳。
〔作品〕 見取りであるためか、木地山系複数作者のこけしの特徴を併せ持つようなものを製作している。
初期のものには稚拙で飄々とした味わいがある。
なお、周治名義のこけしのうち、描彩は本人、妻女、三浦友一、弟子佐藤信一等のものがある。周治の妻、ミヨ(故人)が描彩したとした記述もあるが、周治の娘の令子によると全く関わっていないとの事である。周治が平成4年から石蔵型を製作したのは師の小椋正吾を偲んでの事である。尚、周治は「秋田こけし展」に第1回(昭和52年)から第38回(平成24年)まで連続で出品した。
〔15.0cm(昭和47年4月28日)(沼倉孝彦)〕
下掲の左端は妻女の描彩という。木地は作り付けではなく差し込みになっている。
〔右より 21.2cm、18.4cm(昭和50年頃)(沼倉孝彦)〕
〔右より 18cm、13.2cm(共に昭和40年代初期)、15cm(昭和47年4月28日)、24cm(平成12年10月)、18.9cm(平成13年2月10日)(沼倉孝彦蔵)〕
〔伝統〕木地山系見取り。