五十嵐勇(いがらしいさむ:1935~2011)
系統:鳴子系
師匠:桜井昭二
弟子:
〔人物〕昭和10年6月15日、鳴子の五十嵐丑蔵、ちよの長男に生まる。昭和24年鳴子中学校を卒業後、昭和25年より36年まで桜井昭二の弟子となり木地修業。遊佐泰雄は弟弟子。この間、昭和33年には一年間仙台へ出て竪口クロを学んだ。昭和37年に上鳴子に工房を構え独立開業した。こけしを正式に描き始めたのは独立直後からである。腕の立つ桜井一家のグループにあって、あまり表に立つことは無かったが、堅実な作風で、その作品は常に一定の水準を維持していた。
平成23年10月11日没、行年77歳。
桜井一家 後列左より 桜井万之丞、五十嵐勇、佐藤実 昭和37年 撮影:露木昶
前列左より 桜井コウ、桜井昭二、遊佐泰雄
鳴子の木出し作業(荒尾川河川敷) 昭和47年
手前:大沼秀雄、奥の縞の帽子:五十嵐勇、その左の赤い帽子:佐藤賀宏、右端:大沼健伍
〔作品〕 師匠桜井昭二よりの伝承で、岩蔵型のこけしを作る。くせのない温厚な作風。当初は肩を白く残した前期の岩蔵の型を多く作ったが、昭和44年ごろより、肩にロクロ線が入り、水引きの一層華麗なこけしも作り姶めた。
下掲は肩にびりかんな(うてらかし)とロクロ線を加えた後期の岩蔵の型を写した作品であるが、作風は安定している。このように五十嵐勇は製作当初から晩年まで、岩蔵型を基調としたスタイルの上に、勇独特の雰囲気を維持し続けて破綻がなかった。
〔伝統〕 鳴子系岩太郎系列
〔参考〕