佐藤実(さとうみのる:1932~2021)
系統:鳴子系
師匠:桜井万之丞/桜井昭二
弟子:佐藤瑞子
〔人物〕昭和7年12月27日、鳴子のこけし工人桜井万之丞、コウの二男に生まれる。昭和20年3月鳴子尋常小学校を卒業し、父万之丞について木地の修業を開始した。昭和22年頃より、こけしの製作も行うようになったが、実名義のこけしを店に並べるようになったのは昭和32年ごろからであるという。昭和33年発行の〈こけしガイド〉で直ちに工人として紹介された。
昭和36年頃から、妻の実家の佐藤姓を名乗るようになった。
昭和38年頃から万之丞の兄大沼甚四郎の型を作るようになった。昭和43年に兄昭二の元を離れ、上鳴子で独立開業した。妻の佐藤瑞子(みつ子)も昭和47年頃より実の木地に描彩をするようになった。以後上鳴子で継続してこけし製作に取り組んでいたが、晩年は高齢のため作品は多く作らなかった。妻女みつ子が平成31年2月27日に他界した。
実は令和3年3月24日に没、行年数え年90歳。
〔作品〕兄の桜井昭二がいつも表舞台に立たされるので弟の実は控えめな印象をもたれるが、作品は実として一本の筋が通っていた。
下掲は昭和45年に、深沢コレクション中にある林若樹旧蔵の明治期大沼甚四郎を復元したもの。形態のバランス、面描ともに破綻はなく、原物の緊張感と品格を十分に再現している。
甚四郎型のほかに岩蔵型など「さくらい」から伝承した作品を作った。下掲写真左端は「ざんばら」と称した独自の創作型。
〔右より 32.2cm(昭和55年)、24.0cm(平成8年)(高井佐寿)〕
〔系統〕 鳴子系岩太郎系列
〔参考〕