小幡徳松(おばたとくまつ:1904~1959)
系統:土湯系
師匠:小幡末松
弟子:
〔人物〕明治37年9月10日、小幡末松、ヨフの三男として福島市荒町10番地に生まれる。長じて理髪業を持って独立、福島市戸ノ内町19に住んだ。長兄福松の描彩はおもに弟の秀松が行っていたが、昭和7年に秀松が海軍に入って横須賀に転じたので、福松自身の描彩が多くなった。福松は味わいのある描彩であったが筆致は稚拙であったので、見かねた徳松が描彩を引き受けるようになった。この頃は徳松は理髪業が本業で木地は挽かなかったので、木地は福松である。福松は昭和10年刊の〈木形子談叢〉によりこけし作者として紹介されたが、掲載写真のうち大寸の一本は徳松の描彩である。昭和10年頃より昭和26、7年まで描いたと思われる。昭和34年12月30日没、行年56歳。
〔作品〕下掲は、〈木形子談叢〉に福松名義で掲載されたものとほぼ同時期で同様の作品である。秀松描彩のこけしを踏襲したと思われ、前髪は幅広に描かれ、鼻は下方に短く描かれている。
徳松の描法は次第に自分の個性が現れるようになり、鼻は顔の中央に長めに描かれるようになる。
〔 12.7cm(昭和12年)(日本こけし館)〕 深沢コレクション
〔右より 19.3cm(昭和13年頃)寺方徹旧蔵、18.3cm(昭和12年頃)(鈴木康郎)〕
〔伝統〕土湯系松屋系列
〔参考〕
- 中屋惣舜:小幡秀松聞書メモ〈井の頭こけし研究会〉(昭和48年1月)
- 中屋惣舜:小幡秀松のこけし〈木の花・第三号〉
- 鈴木康郎:談話会覚書(42)小幡一家のこけし〈こけし手帖・716〉(令和2年9月)