佐藤昭一(さとうしょういち:1935~2023)
系統:肘折系
師匠:佐藤巳之助
弟子:
〔人物〕 昭和10年11月10日、宮城県仙台市北材木町181の木地業佐藤巳之助・きくの長男に生まれる。肘折の佐藤周助は祖父にあたる。昭和26年頃からロクロに上がるようになった.
昭和29年3月宮城県工業高等学校木材工芸科を卒業 、昭和33年3月東北学院大学文経学部経済学科を卒業 した。学生時代もロクロに上がって木地は挽いていたが、卒業後、父巳之助について本格的に木地を修業し、挽き物全般について技術を習得した。こけしの製作は、昭和38年7月頃からである。昭和40年頃、東京鷺ノ宮(西武新宿線都立家政駅近く)でこけし店「たつみ」を開いていた森亮介が、父巳之助に祖父佐藤周助の型の復元を依頼しにしばしば訪れていたが、周助型を昭一にも依頼するようになり、昭一も周助型を製作するようになった。昭和48年頃から、こけしに積極的に取り組むようになり、数々の周助の復元に打ち込んで挑戦した。県や国(厚生労働省)から卓越技能章の表彰を受け、また平成12年には黄綬褒章、平成19年にはポーラ伝統文化賞を受けている。
こけしのほかに木の板にこけしの顔や模様を描いた「板画(ばんが)」という作品も作っている。晩年には、仙台市青葉区中山2-36-22に「こけし工房 さんぱく」を開いて、こけしや板画を製作を続けたが、令和6年1月19日に逝去した。行年89歳(数え年)。
〔作品〕東京鷺ノ宮の「たつみ」は、佐藤巳之助に各種の周助型を注文していたが、さらに息子の昭一にも依頼して取り寄せた。下掲は、その最初のころの周助型である。周助の様式は丁寧に写されているが、周助の表情に比べてややおとなしい印象であった。
「たつみ」では、各時代の周助型を原品を預けながら継続的に復元依頼したので、昭一の周助型はその雰囲気まで再現できるようになり、次第に昭一自身の作品として完成されたものとなっていった。
〔右より 25.5cm(昭和43年6月)、30.2cm(昭和41年2月)、13.6cm(昭和41年5月)(橋本正明)〕
昭一は若いころにはインテリアデザイナーになることも考えたと言うだけあって、造形感覚には優れたものがあり、巳之助の亡き後は周助型の継承者として安定した作品を作り続けた。
〔30.0cm(昭和54年頃)(橋本正明)〕 尾形商店より発見の周助の復元
昭一自身が周助型カタログを作っていて、最終的に42種類の周助型が収録され、注文に応じて製作した。
〔系統〕肘折系周助系列
〔参考〕
- こけし工房 さんぱく (佐藤昭一工人のページ)
- 高井佐寿:佐藤昭一のこけし〈伊勢こけし会だより・139〉(平成24年6月)