志田楓

志田楓(しだかえで:1996~)

系統:蔵王高湯系, 鳴子系

師匠:志田菊宏

弟子:

〔人物〕平成8年7月22日、山形県西村山郡西川町大井沢の木地業及び湯殿山神社宮司の志田菊宏、祐子の長女として生まれた。二人兄妹で兄がいる。
平成27年4月学校法人山形デザイン専門学校ビジュアルデザイン学科入学し、イラストレーション、写真、デッサン、美術史、HTML等を勉強した。平成29年に第42回卒業進級制作展で優秀賞受賞する。平成29年3月に卒業。平成29年4月に石川県立山中漆器産業技術センターの石川県挽物轆轤技術研修所 基礎コース入学。平成31年3月に卒業し、4月より父菊宏に師事して伝統こけしを修業している。石川県挽物轆轤技術研修所には、特別講師として重要無形文化財保持者(人間国宝)が3人いた。轆轤技術、蒔絵、漆塗りの演習講師も充実していて1学年5名の少数精鋭で研修した。木地師の概念として刃物作りは最後の修業であるが、ここでは入学とともに刃物作りから技術指導があった。良い刃物を作れない者が良い作品を作る事は出来ないと云う考え方であった。楓は漆塗りも自ら手掛け、令和元年5月より、盆、茶筒、創作の木地人形を製作し、自宅の店に置いて販売をしている。玩具等の小物だけでなく、大物も手掛ける女性工人は珍しい。


大井沢工房 左:志田菊宏、右:志田楓 令和元年5月27日 撮影:中根巌
父の菊宏は縦挽き(向かい挽き)であるが、楓は石川県挽物轆轤技術研修所で学んだので横挽きで作業を行う。

〔作品〕 令和元年5月より作り始めのころは下掲写真のように主に創作木地人形を作った。


〔7.5㎝、8.3㎝、7.5㎝、7.0㎝(令和元年5月)(中根巌)〕各種 創作木地人形

8月には米沢市の相良人形作家である8代目相良隆馬さんの工房を訪ね「猫に蛸」の楓オリジナルの創作木地人形を製作販売する許可を得ている。下掲は創作木地人形の「猫に蛸」。


〔7.5cm、7,5cm(令和元年8月)(志田家蔵)〕創作木地人形 「猫に蛸」

「猫に鯨」もある。


〔7.2cm(令和元年)(中根巌)〕 創作木地人形 「猫に鯨」

 楓は、横挽きで修業したので、父菊宏の挽く縦挽き轆轤は使い勝手が良くなかった。令和元年10月には横挽き轆轤が入り、製作環境が整った。このあと令和2年の春から大井沢の伝統こけしの製作を始めた。この時点が伝統こけし工人としての正式デビューであった。
下掲は志田菊麻呂の大正期の型を継承したもの。


〔18.3cm(令和2年3月)(中根巌)〕大正型

下掲も志田菊麻呂の型を継承したもので、右二本は志田菊麻呂の大正期の型を、左2本は昭和期の作をもとにしている。志田楓自身は右2本を大正型、左二本を菊麿呂型と呼称している。


〔右より 18.3cm、18.3cm(令和2年3月)大正型、18.0cm、18.0cm(令和2年3月)菊麻呂型(中根巌)〕

〔伝統〕鳴子系と蔵王高湯系の融合した大井沢のこけし

 

〔参考〕

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