鎌田孝志(かまたたかし:1953~)
系統:弥治郎系
師匠:鎌田文市/孝市/うめ子
弟子:鎌田美奈枝
〔人物〕 昭和28年9月6日、宮城県白石市のこけし工人鎌田孝市、うめ子の長男に生まれる。鎌田悦子は姉にあたる。昭和49年暮より祖父の鎌田文市、父の孝市について木地の修業を始めた。描彩については母うめ子の指導も受けた。昭和51年ころより孝志名義でこけしを出すようになった。増子十一の三女美奈枝と結婚したが、美奈枝も平成3年ころよりこけしを製作するようになった。
東北本線白石駅を降りて右手にすこし進んだ場所(堂場前)にある工房で一家でこけしを製作している。
〔作品〕戦後の鎌田文市、孝市の型を忠実に継承することからこけし製作を開始した。
その後、弥治郎の各種こけしなども研究し、古作の再現などにも取り組んだ。下ノ原の渡辺幸治郎の型などを再現したこともある。
下掲は、飯坂の佐藤喜一の型を試作したもの。
やがて、鎌田文市の正末昭初の作に正面から向き合って製作を行うようになり、見ごたえのある作品を継続的に生み出すようになった。
下掲は、昭和初期の文市の型を継承したもの、大振りの頭に半円形のベレー飾りが雄大に描かれ、明眸な翳りのない表情を持つ魅力ある仕上がりとなっている。白石鎌田一家のこけしの「いかにもおもちゃらしい健康さ」をしっかり継承している。
下掲は二人挽き手描き時代の弥治郎様式を想定して製作されたもの、左端は飯坂佐藤栄治の師であった佐藤常治のあやめ模様の再現を試みたもの、右端は新山栄五郎の母みわ風のあやめ模様を再現したもの。
下掲二本はともに孝志の作であるが、令和2年9月の名古屋こけし会では左端の型を孝志が、右端の型を美奈枝が製作した二本組の頒布が行われた。
〔右より 18.0cm、23.2cm(令和2年7月)(橋本正明)〕
〔系統〕 弥治郎系栄治系列
〔参考〕
- ムーの棚から:鎌田孝志 – livedoor Blog
- 伝統こけし達
- 鎌田孝志工人のこけし こけしのなかのわたし
- 橋本正明:二人挽き時代の弥治郎〈木でこ・231〉(令和2年9月)