松田大弘

松田大弘(まつだともひろ:1990~)

系統:鳴子系

師匠:松田忠雄

弟子:

〔人物〕 平成2年1月25日宮城県大崎市鳴子温泉字上鳴子のこけし工人松田忠雄、真澄の長男に生まれる。三人姉弟で姉が二人いる。松田初見は曽祖父、松田三夫は祖父にあたる。平成29年3月に東京国際大学大学院修士課程を修了した。修士論文のテーマは「現象のシステム論的把握の試みを通して」であり、システムの「おわり」と諸個人の選択による「はじまり」に関するモデル構築を試みたものであった。
木地の修業は在学中の平成28年4月ころから父の忠雄について開始した。こけしも9月ころより松田工房で少量製作販売したが、10月以降修士論文に専念したためこけしの製作は中断した。平成29年1月後半、銀座「GINZA HAKKO 木の香」で開催された「第6回東北こけし展」に創作型等を出品したのが、実質的なこけし界デビューとなった。大学院修了後、平成29年より本格的にこけしの製作に取り組む様になった。
大弘は、「松田の家は代々こけし屋を営んでおり、長男の役目として家業を継ぐ覚悟があります。そしてこけしを通じて、鳴子温泉の魅力を多くの人に伝えていきたいのです。」と語っている。
一時期、職人として松田初見のもとに出入りしていた後藤善松や、初見と親交深かった伊藤松三郎の話を、幼い頃に祖母の松田淑子から聞かされた事をよく覚えている。独楽・灯篭玉出し等の木地玩具や蓋付き入れ物の木地製品も研究中で茶道具なども手掛けていきたいとの事である。また帽子こけし等の創作物にも現代人らしい感性でチャレンジしている。   

松田大弘 平成29年3月

〔作品〕 初見型、幸八型、民之助型、庸吉型などをそれぞれ研究し、製作している。松田忠雄の後を追って、松田大弘も幸八系列の継承者としての地位を確立しつつある。
こけし会での初頒布は、平成29年5月28日の大阪こけし教室例会で、米浪庄弌旧蔵品の高野幸八写し(下掲写真 左端)であった。


〔12,1cm(平成28年8月)、10.6cm 帽子こけし、18.2cm カタクリ模様(新考案)、21.2cm 幸八風(平成29年3月)、24.2cm 本人型、16.7cm 幸八型(平成29年5月) 大阪こけし教室特別頒布  (中根巌)〕 

大弘のこけしは海外でも人気が高く、新考案幸八風は雑誌〈Kokeshi Trends〉の表紙にもなった。


〔25.0cm(平成29年9月)(橋本正明)〕 鈴木庸吉型


〔右より 12.0cm(平成29年9月)民之助型、18.4cm(平成29年11月)庸吉型(橋本正明)〕 
大阪こけし教室頒布

下掲は日本こけし館蔵の名和コレクション遊佐民之助を復元したもの。この型は平成30年の全国こけし祭りコンクールに出品されて上位の賞を獲得した。


〔24.4cm(平成30年8月)(橋本正明)〕

下掲は令和2年の東京こけし友の会に招待工人として招かれたとき頒布された庸吉型。胴の菊模様の筆は奔放かつ古風である。


〔20.2cm(令和2年1月)(橋本正明)〕 庸吉型

下掲三本は明治期幸八系列の木地の形態と、明治期庸吉の立ち菊の胴模様をもとに、庸吉の面描、幸八の面描を再現した作品。非常に古風な様式による構成であるが、大弘の現代の感覚がそれにうまく加味されて魅力ある仕上がりになっている。


〈18.0cm、18.0cm、18.0cm(令和2年8月)(橋本正明)〕
左端:庸吉型面描 右二本:幸八型面描

〔伝統〕 鳴子系幸八系列

〔参考〕

 

こけしの松田工房/宮城県鳴子温泉
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